「東京空襲犠牲者の名前を読み上げ、心に刻む集い・最初の一歩」開催しました(2021年3月8日)

去る3月8日、第1回目となる「東京空襲犠牲者の名前を読み上げ、心に刻む集い」を開催しました。

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◆開催概要

  • 日時:2021年3月8日(月)13:00~15:00
  • 場所:東京大空襲・戦災資料センター 1F映像・講和室(〒136-0073 東京都江東区北砂1-5-4)
       リモート(Zoom)
  • 参加費:無料
  • 主催:東京空襲犠牲者の名前を読み上げ、心に刻む集い実行委員会

◆プログラム

13:00 開会挨拶/趣旨説明(河合節子)

 

13:05 黙祷(1分)

<第Ⅰ部>東京空襲犠牲者名簿朗読

(読み手12名/410人分)

■詩の朗読『弔辞』石垣りん作/朗読 竹山幸子

 

14:15 <第Ⅱ部>トーク&交流の時間

①市民が名簿を作成・読み上げる意味について/有馬保彦(和・ピースリング)

②体験者・遺族の話

③Zoomでの質問&交流

④各地の展示などの紹介

 

14:57 閉会挨拶(福島宏希)

 

15:00 閉会

 

司会:浅見洋子

◆内容

開会挨拶/趣旨説明

冒頭、本企画発起人の河合節子より、開会の挨拶をしました。

以下に抜粋して掲載します。

 

東京大空襲があった3月10日が、まためぐってきました。76年の歳月がながれても、悲しみ、苦しみを抱いたままの遺族がいます。あの時、空前の大規模焼夷弾の無差別攻撃によって、10万人以上の市井の民が無残な死を遂げました。みんな名前がありました。その一人一人を束にして、10万人と言われても納得出来ません。多くの家族は、遺体の確認すら出来ませんでした。

東京だけでも100回以上の空襲がありました。今日読ませていただくお名前は3月10日のいわゆる東京大空襲の犠牲者が多いのですが、山の手の4月、5月のお名前も含んでいます。

空襲は、全国津々浦々にありました。広島、長崎も兵器の種類はちがってもやはり空襲です。市民の犠牲者が、全部で何人だったかもわかっていません。今日は膨大な犠牲者のうちほんのすこし、410人のお名前ですが、お名前をよすがに一人の人間を思い浮かべてほしいし、みんなの思いが死者に届いてほしいと願います。

 

その後、空襲で犠牲になられた方の冥福をお祈りし、黙祷を捧げました。 

 

<第Ⅰ部>東京空襲犠牲者名簿朗読

 

東京都には遺族の申し出により現在81,295人のお名前が登録されていますが、非公開となっています。今回、私たちは東京大空襲訴訟に際して、遺族が裁判所に提出し、公刊された訴状に記載されたお名前350名分を基礎に名簿を作成しました。さらに、この企画を知った方々からの申し出を受け、合計410名となりました。

 

今回名簿の朗読に参加したのは、遺族やこの企画に賛同して頂いた方12名です。高校生、大学生といった若い世代も参加してくれました。

名簿の朗読後、石垣りんさん作の『弔辞』という詩を竹山幸子さんに朗読していただきました。

 

弔 詞(弔辞) 

石垣 りん

職場新聞に掲載された105名の戦没者名簿に寄せて

(詩集「表札など」1968年・思潮社刊より)

 

 ここに書かれたひとつの名前から、ひとりの人が立ちあがる。

 

 ああ あなたでしたね。

 あなたも死んだのでしたね。

 

 活字にすれば四つか五つ。その向こうにあるひとつのいのち。悲惨にとぢられたひとりの人生。

 たとえば海老原寿美子さん。長身で陽気な若い女性。

 一九四五年三月十日の大空襲に、母親と抱き合って、ドブの中で死んでいた、私の仲間。

 

 あなたはいま、

 どのような眠りを、

 眠っているのだろうか。

 そして私はどのように、さめているというのか?

 

 死者の記憶が遠ざかるとき、

 同じ速度で、死は私たちに近づく。

 戦争が終って二十年。もうここに並んだ死者たちのことを、覚えている人も職場に少ない。

 

 死者は静かに立ちあがる。

 さみしい笑顔で

 この紙面から立ち去ろうとしている。忘却の方へ発とうとしている。

 

 私は呼びかける。               

 西郷さん、

 水町さん、

 みんなここに戻って下さい。

 どのようにして戦争にまきこまれ、

 どのようにして

 死なねばならなかったのか。

 語って

 下さい。

 

 戦争の記憶が遠ざかるとき、

 戦争がまた

 私たちに近づく。

 そうでなければ良い。

 

 八月十五日。

 眠っているのは私たち。

 苦しみにさめているのは

 あなたたち。

 

 行かないでください。皆さん、どうかここに居て下さい。

14:15 <第Ⅱ部>トーク&交流の時間

 

第Ⅱ部では、会場・Zoomの参加者の皆さんを交えて、トークと交流の時間としました。

 

 

最初に、市民が名簿を作成・読み上げる意味について、東京空襲犠牲者の名簿を公開する活動を行っている「和・ピースリング」代表の有馬保彦さんからお話頂きました。

次に、体験者・遺族の話に移りました。東京空襲犠牲者遺族会 会長の榎本喜久治さんからは、空襲遺族のこれまでの運動のあゆみをお話頂きました。

加えて、体験者で遺族でもある大竹正春さん、吉田由美子さん、木村マスさん、星野雅子さんから、今回の企画に対する思いを語っていただきました。

その後、参加者の方から、Zoomも交えて平和活動の紹介、今回の企画に対する思い、今後の活動の展望などについてコメントを頂き、閉会となりました。

本企画は東京大空襲・戦災資料センターのご協力のもと、開催することができました。この場を借りてお礼申し上げます。

本イベントの様子は以下のYouTubeでご覧いただけます。

 

◆犠牲者のお名前をご連絡ください

来年も3月に東京空襲犠牲者の名前の読み上げを行います。ぜひご参加ください。犠牲者のお名前を教えてください。下記事務局までご連絡下さい。

  

◆連絡先 

E-mail: names.of.air.raid.victims@gmail.com

URL: https://namesofairraidvictims.jimdofree.com/

TEL: 090 5406 2577(河合) Fax: 03-3616-5531
住所: 〒131-0045 墨田区押上1-33-4-102